一度は弾いてみたい!憧れのハイエンドギター試奏レポート

ギターを愛する皆さん、こんにちは。田中誠です。長年ギターに携わる中で、一度は弾いてみたいと憧れるハイエンドギターがいくつかありました。今回、そんな夢のギターたちを実際に試奏する機会に恵まれたので、その体験をシェアしたいと思います。

高級ギターの持つ魅力は、単に価格だけではありません。歴史あるブランドの伝統と革新性、匠の技が生み出す芸術的なルックス、選び抜かれた最高級の材料、そして何より、他では味わえない極上のサウンド。それらが奏でるハーモニーに、一度触れてしまったら虜になってしまうことでしょう。

今回試奏するのは、私が長年憧れてきた3本のギターです。

  • Gibson Custom Shop 1959 Les Paul Standard Reissue
  • Fender Custom Shop 1960 Stratocaster Relic
  • Martin D-45 Authentic 1942

これらのギターを弾くことで、どんな発見や感動があったのか。臨場感たっぷりにお伝えしていきたいと思います。ギターを愛する皆さんにとって、新たな憧れの1本に出会うきっかけになれば幸いです。

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憧れのギター、試奏前の期待と不安

ブランドの歴史とモデルの特徴

試奏する3本のギターは、いずれも長い歴史と伝統を誇るブランドの名器です。

Gibson Les Paulは、1950年代に登場して以来、ロックミュージックのアイコン的存在として君臨してきました。厚みのあるメイプル材のトップと、マホガニー材のバックというコンビネーションが生み出す豊かな中低域と、パワフルなサウンドが特徴です。

Fender Stratocasterは、1954年の発売以来、多くのギタリストに愛され続けている名機です。特徴的な3基のシングルコイルピックアップは、透明感のある音の立ち上がりと、多彩な音色が魅力です。

Martin D-45は、1933年に登場した、アコースティックギターの最高峰モデルです。ローズウッド材のバックとサイドに、スプルース材のトップを組み合わせた構造は、ウォームで深みのあるサウンドを生み出します。

これらのモデルは、発売から数十年経った今でも、最高級の素材と職人技で作られる至高の1本として、ギター愛好家を魅了し続けているのです。

試奏するギターのスペックと魅力

今回試奏するギターは、各ブランドの歴史的名器をカスタムショップで忠実に再現したモデルです。

Gibson Custom Shop 1959 Les Paul Standard Reissueは、ギブソン社のカスタムショップの匠の技により、1959年製オリジナルを正確に再現したモデルです。厚めのネックグリップと、パワフルで太いサウンドが持ち味。ロックギタリストの憧れと呼ばれるだけあって、そのサウンドは他の追随を許しません。

Fender Custom Shop 1960 Stratocaster Relicは、フェンダー社が当時の仕様を忠実に再現し、長年使い込まれたような経年変化を施したモデルです。3基のヴィンテージスタイルのシングルコイルを持ち、クリアな音の立ち上がりと多彩な音色変化が楽しめます。

Martin D-45 Authentic 1942は、ナチュラルなエイジング加工を施すことで、まるで1942年製のオリジナルのような風合いを再現したモデルです。アディロンダック・スプルース材トップとブラジリアン・ローズウッド材のバック&サイドの組み合わせが、温かみのあるヴィンテージサウンドを生み出します。

これらのモデルは、現代の技術と職人の経験が融合することで、オリジナルの持つエッセンスを余すことなく表現しているのです。

どんな音が出せるのか?期待と不安

試奏前の私の心境は、期待と不安が入り混じったものでした。

長年憧れてきたギターですから、期待は当然大きいです。Gibson Les Paulのあのパワフルで重厚なサウンド、Fender Stratocasterのクリスタルなハイトーンと表現力、Martin D-45の深みのある鳴りと音の輪郭。それぞれのギターが持つ個性が存分に発揮されることを期待しています。

一方で、こんな高額なギターを自分に操ることができるのだろうかという不安もありました。市販品とは次元の違う最高級パーツと、職人の手による調整。そのポテンシャルを引き出すだけのテクニックと感性が自分にあるのか、正直自信がありませんでした。

しかし、不安はワクワクでもあります。自分の可能性に挑戦し、新しい世界を切り拓くチャンス。そう前向きに考えることにしました。

いざ試奏!私の演奏で、これらの名器たちがどんな音を奏でてくれるのでしょうか。

ついに試奏!第一印象と弾き心地

持った瞬間の感想、ルックスの評価

試奏室に入り、いよいよ憧れの楽器たちを目の前にした時の感動は忘れられません。

Gibson Les Paul。その重厚な佇まいに圧倒されました。深みのあるチェリーサンバーストが美しく、メイプルトップの木目が高級感を醸し出しています。手に取った瞬間、ズシリと伝わる重量感。これぞロックの王者という気品を感じずにはいられません。

Fender Stratocaster。一目見て、ヴィンテージギターの風格を感じました。ラッカー塗装の色褪せやへこみ、サビ。それらが醸成する味わい深さに心が躍ります。メイプル材のネックに施された、滑らかな指触りのスムースサテンウレタン仕上げ。その触感に、長年の使い込まれた温もりを感じました。

Martin D-45。ケースから取り出した瞬間、その美しさに息をのみました。何層にも重ねられたニスの輝き、緻密なアバロンの装飾、象牙のナット&サドル。そのルックスはまさに王者と呼ぶにふさわしい気品に満ちています。持った時の軽さにも驚きました。質量の大半を占めるローズウッドが奏でる豊かな響きが期待できそうです。

ネックの握り心地、ボディのフィット感

各ギターのネックを握り、ボディの感触を確かめてみます。

Les Paulは、59年スタイルのチャンキーなネックグリップ。現代のスリムなネックとは対象的な、がっしりとした握り心地です。しっかりホールドしている安心感と、サウンドへの期待が高まります。ボディはレスポール特有の厚み。腹部への当たりは controlをはじめ楽にフィットします。重心が低めなので弾きやすそうです。

Stratocastorは、60年代のオーバルCシェイプのネックを再現。程よい太さとシェイプが、親指を添えて弦を押さえるのにちょうど良いグリップ感です。指板のラディアスは7.25インチと、現代の9.5インチよりも若干弦が沈み込む印象。チョーキングには向きませんが、ブルージーなニュアンスが出しやすいかもしれません。ボディはスリムでカーブが控えめ。腰への接地面が広く安定感抜群です。

D-45の指板は、かなり薄めでフラット。剛性の高いローズウッドが、音のレスポンスを高めているようで、軽く触れただけでしっかり音が伝わってきます。ボディサイズは000-28よりひとまわり大きめで、品のある丸みを帯びたシェイプ。右腕が自然にトップに乗り、左手が楽に弦に届く抜群のバランスです。

初めて音を鳴らした時の感動

いよいよサウンドチェック。それぞれのギターを鳴らした瞬間の感動は言葉にできません。

Les Paulのサウンドはまさにパワフル。57クラシックハムバッカーは、太くて芯のある重低音とクリアなハイ。弦をはじいた瞬間の立ち上がりから、圧倒的な存在感を放ちます。サスティンの長さにも驚きました。抜けの良いトーンは、シングルノート、コード、高音域も安定感抜群です。

Stratは、いきなりあのキラキラ感に魅了されました。音の粒立ちの良さと、倍音の広がり。まるでベールを一枚はがしたような透明感です。3基のピックアップをそれぞれ鳴らしてみると、ポジション1のメロウな深み、ポジション3のパンチ、ポジション5の甘くクリアなトーンが鮮やか。ピックアップセレクターとトーンコントロールで無限の音作りが楽しめそうです。

D-45の鳴りは圧巻の一言。オール単板による豊かな響きは、他のギターでは味わえない特別な体験でした。スプルース材トップが紡ぎ出すクリアなサウンドに、ローズウッドのウォームさが重なり合う。その広がりと奥行きは、まるで別次元へ誘われるよう。フレットを叩きつけるように弾くと、よく粒立った輪郭のはっきりしたトーンに。指先で軽く弦を転がすように弾けば、まろやかで艶のあるトーンが花開きます。

それぞれのギターを徹底分析!音色の特徴

クリーンサウンドの透明感と深み

アンプのゲインを絞り、クリーンな設定で各ギターの音色を聴き比べてみました。

Les Paulのクリーンは、喩えるならウイスキーのようです。深みと風味があり、バランスが良い。低域の芯の太さ、中域の艶やかさ、高域のクリアさ。それらが絶妙に調和したサウンドは、聴き手を惹きつけて離しません。

Stratoのクリーンは、澄み切った清流のようです。新品のギターにはない、ヴィンテージ感溢れるパーツの絶妙なマッチングが生み出す透明感は唯一無二。清涼感のあるトーンは、どこまでも目の前に広がる青空を思わせます。

D-45のクリーンは、ナイアガラの大瀑布。一音一音が持つダイナミックレンジの広さと繊細さに圧倒されます。硬質なアタックから倍音が広がり、ふくよかなサスティンへと変化していく。その大迫力のサウンドに、思わず息を呑みました。

ドライブサウンドの歪み具合とサスティーン

ゲインを上げ、ドライブサウンドで弾き比べてみます。

Les Paulは、その真骨頂ともいえるクランチサウンドが最高でした。適度な歪みと抜けの良さ。却ってクリーン時よりもダイナミックレンジが広がったような解像感。音の芯を感じさせる重厚なサスティーンは、スタジオ録音でも威力を発揮しそうです。

Stratoは、とてもシンギングなトーンを聴かせてくれました。ゲインを上げて歪ませると、ピックアップのクリアさが功を奏し、倍音豊かなサウンドに。音の輪郭がくっきりとしているので、他の楽器との音の重なりでもしっかり主張してくれそう。サスティーンも良好で、伸びやかに音が滑っていきます。

D-45は、ドライブをかけてもその本質的な鳴りは変わりません。ウォームでパワフルなサウンド。ダイナミックなニュアンスは損なわれず、音の躍動感が増します。贅沢な倍音が重なり合い、より複雑味を増したサウンドへと変貌。サスティーンは留まることを知りません。

各モデルの音色の違いを比較

3本のギターを聴き比べて気づいたのは、それぞれに異なる個性と魅力があること。そして究極の一本を選ぶのは不可能だということです。

各ギターの個性と向き不向きをまとめると、こんな感じでしょうか。

ギター 個性 向いている音楽ジャンル・プレイスタイル
Les Paul パワフルでリッチなトーン。ロックやブルースに最適。 ハードロック、ヘヴィメタル、ブルース。リードプレイやリフ向き。
Stratocaster 透明感と多彩な音色。ポップスやファンクに好相性。 ポップス、ファンク、フュージョン。コード進行やカッティング向き。
Martin D-45 ダイナミックレンジの広さと繊細さ。フィンガースタイルに最適。 フォークソング、フィンガーピッキング、ソロパフォーマンス向き。

しかし、これはあくまで一般論。ギターは楽器の中でも特に個体差が大きいので、実際に弾いてみないと本当の良さは分からないものです。

私としては、Les Paulのパワー感、Stratocastorの万能さ、D-45の表現力。それぞれの魅力を存分に味わえたことが、何よりの収穫でした。憧れのギターを心ゆくまで堪能できた喜びは、一生の思い出になるでしょう。

演奏性をチェック!弾きやすさと表現力

コードチェンジやスケール演奏のしやすさ

実際に演奏してみて、各ギターの弾きやすさを確認しました。

レスポールは、太めのネックに慣れが必要ですが、芯のある音はコード弾きで輝きます。ロー~ミドルポジションでのコードチェンジは非常にスムーズ。サウンドの安定感が、よりリズミカルなコード進行を後押ししてくれます。ハイポジションは若干弾きづらいですが、太めのフレットワイヤーのお陰で押弦は楽です。

ストラトは、薄めのネックとフラットな指板が功を奏し、あらゆるコードポジションで高い演奏性を発揮します。7.25インチの指板ラディアスは、倍音を豊かに響かせるのに最適。開放弦を使ったコードでもしっかりと音がまとまります。スケールの弾き心地は抜群。カッティング、スラー、ハンマリング。あらゆるテクニックがストレスなく決まります。

D-45は、広めのネックとフラットな指板が、フィンガーピッキングにぴったり。柔らかめの弦とのマッチングで、スムーズな左手フィンガリングが可能です。かと思えば、ストロークでがっつり弾いても音がつぶれない。コードの踏み方次第で、実に多彩な表情を見せてくれるのは、さすがハイエンドモデルといった感じ。

テクニカルなプレイへの対応力

ギターの真価は、アドリブやソロプレイなどの、より高度なプレイで発揮されます。

レスポールは、ブルージーなリフ、テクニカルなリードでその真価を発揮。太めのネックと弦間隔が、どんなフレーズも受け止めてくれる安心感。ミドルからハイポジションでの音の伸びは感動もの。指を滑らせるだけで、唸るようなロングトーンが響き渡ります。

一方、ストラトはスピード感あふれるプレイで輝きます。薄めのネックとロープロファイルフレットが、高速フレーズをサポート。音のレスポンスが良く、タッピングやトレモロピッキングなどのテクニカルなプレイも容易。ヴィンテージスタイルのトレモロユニットは、繊細なアーミングを可能にし、より表現の幅が広がります。

D-45の対応力は、まさに脱帽です。その豊かな鳴りは、単音をじっくり聴かせるスローフレーズから、高速ロールまで、あらゆるプレイを引き立てます。右手のニュアンスに忠実に反応し、弦をつまむ強さ、開放するスピード、指の動きのリズム。それらを余さず音に反映させてくれるのです。

音の表現力、感情を込めることができるか

私にとって、ギターに求める最も大切な要素は、感情表現の豊かさです。

レスポールは、ブルースマンの哀愁を表現するのに打ってつけ。キレのあるアタック、芳醇な倍音、滑らかなサスティーン。それらが生み出すトーンは、深い感情を湛えています。ソウルフルなプレイで聴き手の心に迫る。レスポールにはそんな力があります。

ストラトは、プレイヤーの感性をダイレクトに音に反映してくれる、まさに表現の達人。クリーントーンは濁りのない喜びを、ドライブサウンドは熱い魂の叫びを表現できます。つま弾くように軽く弾けば切なさを、思いきり弾けば激しさを。ストラトは、プレイヤーの感情を余すことなく表現できるのです。

D-45は、繊細な感情表現に長けています。ギター単体の音の美しさが、そのまま感動へとつながる。透明で品格のあるトーンは、私の想いを最大限に昇華し、聴き手へと届けてくれます。D-45を抱えば、自然と音楽への愛が溢れ出てくる。プレイヤーの感情に呼応するように、木材が泣き、弦が歌います。

まとめ:試奏を終えての感想とおすすめポイント

実に充実した試奏体験でした。憧れのギターたちに触れ、それぞれの魅力を存分に味わえたことが何よりの喜びです。

Gibson Les Paulは、ロック&ブルースギタリストの最終兵器といって過言ではありません。重厚で品格あるルックス、弾き応えのあるネック、何よりパワフルでリッチなサウンド。全てがプレイヤーの表現力を最大限に引き出してくれます。太くて芯のある音は、バンドサウンドの中でも存在感抜群。レスポールを手にすれば、ロックの頂点を目指せるでしょう。

Fender Stratocastorは、まさにオールラウンドプレイヤーの理想形。ヴィンテージスタイルのルックスに、弾き込んだかのようなネックの馴染み具合。サウンドの多彩さは他の追随を許しません。カッティングの切れ味、コーディングの艶やかさ。あらゆるジャンルで幅広く活躍できるのは、ストラトならではの魅力です。

Martin D-45は、アコースティックギターの最高峰に君臨する名器です。ルックス、サウンド、弾き心地。全てが最上級の価値を持っています。豊かな響き、ダイナミックレンジの広さ、繊細なニュアンス表現。D-45を手にすれば、ギターの無限の可能性を感じずにはいられません。フィンガーピッキングからストロークまで、どんなプレイスタイルにも応えてくれる懐の深さは、長く付き合える相棒となるでしょう。

最後になりましたが、この3本がプレイヤーの個性を引き出し、音楽表現の幅を広げてくれることは間違いありません。憧れのギターを手にする機会があれば、ぜひ自分の音楽にどう生かせるか、存分に試奏して探ってみてください。新しい発見と感動が待っているはずです。

以上、ハイエンドギター試奏レポートをお届けしました。この記事が、あなたのギター選びの一助となれば幸いです。

最終更新日 2025年7月5日 by kyubei